7,000軒を越えて、見えてきたもの

7,000軒を越えて、見えてきたもの

  • MAGAZINE
  • UPDATE|2019.04.24

2019年4月に入り、SENDにご登録いただいているレストラン数が7,000軒を越えました。本当にありがとうございます!

SENDを通じて出荷されている生産者さんや、私たちのミッションに賛同して下さっているシェフの皆さまとご一緒して、早44か月(3年8か月)が経ちました。

軒数の発表はしましたが、実は私たちは、レストランのお取引軒数を最優先の指標として追いかけていません。あくまで「生産者さんからの出荷量・額が伸びていくこと」にフォーカスしています。最近では、取扱量が増すにつれ、各地の農畜水産の奥深さや、産地と都市の間にある流通・物流をめぐる課題が更にくっきりと見えてきて、「まだまだこれからだなぁ」と改めて感じています。

この機会に、最近の気づきと振り返りを、書き留めておこうと思います。

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◆食材と、作る人との、ワクワクするような出会い

この3年と8か月。全国津々浦々から届く数多の食材を扱ってきました。しかしいまだに、地元でしか出回らない珍しいもの、限られた時期にしか入手できないもの、またその食べ方にたくさん出会います。また、同じ食材でも生産者さんごとにユニークな「ものづくり」をされていて、一つ一つが作品のように異なります。

そうした魅力を伝えたくて、”誰が作っていようが、均質なものを、とにかく安く”というお店や企業さんとのお取引は、控えてきました。”定時・定量・定質・低価格”とは真逆の、季節性や地域性、生産者の特性といった「多様性」に振り切ってきたのです。
そのおかげで、むしろスーパーに並んでいるような食材が一部なくても、「ワクワクする」「他にないものがある、勉強になる」と、使ってくださるシェフも増えました。

これが一番の成功だと思っています。

 

◆農・畜・水産は一体であること。

産地に伺うと、畜産者さんや水産者さんにとって不要なもの(し尿や残渣)を農家さんが堆肥にして使っていたり、農家さんにとって副産物(稲わらやもみ殻)を畜産者さんが利用していたり、「地域における循環や関わり」を目の当たりにします。

そんな中、「SENDって農業特化だよね?」とよく言われます。確かに野菜、フルーツ、ハーブなどのイメージをお持ちの方が多いと思いますし、実際に、出荷者数でも農家さんが7割以上を占めています。しかし、畜産者さんや水産者さん、自治体やシェフの皆さまからも、お肉や魚介のリクエスト(や、既存流通への不満や相談)もいただき、少しずつですが、取り扱いを拡大してきました。気付けば、畜産のお取り扱いについては、首都圏・国内でも有数のラインナップになりました。牛、豚、鶏、鴨、羊、馬、鶉(うずら)、シカ、イノシシ、兎などのジビエなど、あらゆる食材を手配できるようになりました。

最近では、水産の取り扱い拡大を進めています。但し、あえて区別すると、「漁業」ではなく「水産業」の支援です。自然のものを世界中でこぞって獲っていたら、資源の枯渇につながるのは自明です。私たちは「人間が食べるものは、人間が育てる」を大切にしたくて、農業や畜産業同様、養殖や持続的な水産業を応援しようと思います。

 

◆中小の生産者が、主流となっていく時代に。

一方、フードロスもひとつの象徴ですが、日本で食べ物は「モノ余り(供給過多)」です。需要が強く、指定作物を作っていれば収入が安定していた時代は終わりました。今では、全国の生産者が同じ作物を一斉に作り、豊作であればあるほど(供給過剰で)価格が暴落する…という構図を、もどかしく感じています。

その上、日本には、以前にも増して海外から安い食材が入って来るようになります。出荷競争・価格競争も激しくなり、大きな産地・生産者であるほど、効率化とコスト削減が最大の課題となるでしょう。しかし、国内では消費総量の減少傾向に加え、需要は急速に「多様化・細分化」の一途を辿っています。この市場環境において、大型化・効率化・コスト削減を追い求めているコモディティ型の農業に、未来はあるのでしょうか?

むしろ中小規模で、小回りよく、需要に応じた品種を作ることができる生産者さんにとってはチャンス、とも言えます。しかし、「何を作れば良いのか」「どんな食材が伸びるのか」といった情報がまだ産地に十分届いておらず、転作も簡単ではありません。需要の移り変わりも早く、去年は売れたものが今年からは全然売れなくなった…などの事態も頻繁に起こっています。

SENDでは、ダウン・トレンドにある食材でもなく、一過性ブームのなかにある食材でもなく、今後数年のスパンで伸びる食材を見出し(予測し)、「適地・適期・適任・適作」をアレンジすることに注力してきました。こうしたSENDの強みは、これからもきっと、重要になっていくと思います。

 

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ご覧の通り、SENDのモデルは、今のところ、ジャガイモや大根を数百トン/週といった大きな単位で動かすようなものではありません。大手チェーン事業者やスーパーへの納品も手掛けていません。これからの地域を支える若手の生産者を中心に、多様な食材を作ってもらい、より高く買い取り、たくさんの個店シェフに自社物流で届けるという、「タイヘン手のかかる仕事」をしています。

こうしたスタンスに対して、スタートアップとして事業の成長や効率をなによりも優先し、より規模の大きなところに進出すべき、というような論調もあります。

しかし、私たちは「中小生産者の持続的増加を通じて、食の多様性を支える」ことを目指しています。事業のスケール以上に大切なことは、ミッションドリブンであることと、そのポジショニングです。
私たちは、SENDを通じて提供する需要予測が、生産計画を牽引する最先端情報となり、農畜水産業の生産ポートフォリオさえも変えていくような、「Unique&Original(特異であり、起点であること)」な存在であり続けたいと思っています。

今後とも、SENDと、プラネット・テーブルを何卒よろしくお願い申し上げます。

AUTHOR | Sayoko Saito

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